群書類従(ぐんしょるいじゅう)

 

 

 群書類従(ぐんしょるいじゅう)編纂(へんさん)事業は和学講談所で進められ、何冊もの写本(しゃほん)の内容を比較吟味(ぎんみ)し、屋代弘賢(やしろひろかた)・中山信名(のぶな)・横田茂語(しげつぐ)・松岡辰方(ときかた)など多くの門人によって行われ、41年の歳月を経て、塙保己一先生が亡くなってから、息子により「父は病気療養中」と設定して、完成させました。そして、元服して跡を継ぎました。

 群書類従には、古代から江戸時代初期までに刊行された史書や文学
作品が収録されています。
 当時の書物は手書きの写本だったため、古書の
散逸(さんいつ)危惧(きぐ)した塙先生が多くの人々の協力により桜の版木に彫刻して出版したものです。
 群書類従の収録文献数は1,277種で、25部門に分類して総冊数665冊、目録1冊の合計666冊からなります。
 版木枚数は17,244枚で、両面に彫られているため約3万4千頁になります。
 昭和32年に国の重要文化財に指定されました。

 群書類従の出版部数は、江戸時代から今日まで、およそ70万冊を超え、和本、活字本のほかCD-ROM版やインターネット版が登場し、多くの研究者に利用されています。

 現在でも、渋谷区にある温故学会が群書類従の版木を保管し、摺立(すりた)出版しています。


 群書類従の版木の彫刻料だけでも、総額5,619両3分を要したといわれ、この刊行は巨額の費用を伴う事業であり、幕府の援助や豪商の鴻池らの助力を得たものの、「世のため
(のち)
の為に」という信念のもと、塙先生が 個人で莫大な借金をして完成させました。